2018/08

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先月の23日に掲載した「 札幌は結構遠いのです。」で、函館駅の案内板を紹介した一節で首都圏の駅みたいだと書いたので、だったら「JR東日本の首都圏駅」としっかりと比較せよ、というメールを頂戴しました。
実は、今年1月から首都圏のJR駅では、案内板の多くが一気にLED化されています。省エネ化と表面輝度の均一化が実現されており、大幅な視認性の向上が図られているので、これを話題にしないと片手落ちだという指摘でした。
函館駅は、首都圏の駅と比較すると、旅客数が格段に少なく、しかも構造上の特徴から先進的なバリアフリーを実現しています。ですから一概には比較できないのですが、観光客が多いという特徴から一層の案内板の「見やすさ」については考えてみる必要性はあります。

さっそく東京に飛びました。
駅構内でカメラを構えるのは躊躇するのですが、今回はいわば調査です。
撮影させていただいて良いでしょうか!とお願いしながら、あっちこっちの駅で案内板を撮影してまわりました。

まず、函館駅の案内板を再掲するとこれです。
当然ですが、絵文字や矢印はJ標準的なものに準拠しているので、文字の説明無しで「あ、これはバスね!タクシーね!」とすぐにわかります。ありがたいものです。

ただし、天井近くに掲示されていますから、指差したり立ち止まって確認する人を見ることはほとんどありません。
目でちらっと確認する、という使い方になります。
サイン

さて、こちらは、有楽町駅の駅周辺案内図と各種案内図。同様の矢印と「i」つまりインフォメーションの絵文字が表示されています。立ち止まって観察していると、とにかく指差しをしながら、じっくり思案する人が多い。
みんなが指で表面を触るので、人気のポイントはすり切れて文字や図が消えて無くなっている場合もある。こうしたインスクリプション(行為の痕跡)を観察すると、デザイナーとしては面白いヒントが得られるので見過ごせないポイントです。が、この案内板にそうしたスキはありません。

そして、こちらは、東京駅。
老いも若きも「i」の前に集まって、指差しをしたり手持ちの地図と照合したり、先客万来。
案内板全体が均一に光っていて、しかも適当な明るさになっているので、雑踏を急ぎ足で歩いていても、「お、ここにある!」と気がつきます。もちろん、駅構内で進路を決めなくてはいけない動線の結節点にぴたりと設置されていました。
日常的に通る膨大な数の通勤客の流れと、稀にしかやってこない旅客の共存は結構な難しさを伴います。ここでは見事に情報のデザインで人の流れをスピーディにさばいている印象があります。

さて、函館は「通勤」のような速い流れを扱う場所ではありません。
ゆっくり、もしくは適切な流れで歩いて楽しむ街です。
そういう流れをデザインする、ということをあんまり考えたことがなかったなぁ、とずっと観察している頭の隅で気になってくるのでした。