2018/10

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未体験の操作感

新たな入力装置開発
情報機器の入力装置に関するインタフェース研究の中で、より使いやすく魅力
あるインタフェースを開発する研究がおこなわれている。公立はこだて未来大
学大学院修士2年の横道麻衣子さんは、古くから使用されているマウス、キー
ボードやリモコン等の入力装置とは異なる操作感を持った入力装置Multi-Points
(マルチポインツ)を開発した。


マルチポインツは、直感的に使いやすく操作を楽しむことができる入力装置で
ある。キーボードやマウスと異なるのは、手と入力装置の距離をセンサで測る
ことで入力を区別する点で、10cmまでの距離なら識別可能である。マルチポイ
ンツの魅力はセンサの数が多数内蔵されている点だと横道さんは語る。縦横、
高さの距離が検知でき、入力に応じて装置と人の手の縦横、高さの位置情報の
組み合わせを変えれば膨大な数の入力数に対応できる。また、インタフェース
の操作に対応してLEDが光るため、利用者に配慮したデザインになっている。さ
らに、色や輝度を変化させることでより利用者の操作を促進させることも考え
ているとのこと。写真のプロトタイプでは装置の形状は半球であるが、センサ
の配置の仕方で様々な形状にすることが可能であるため、形状についても検討
をおこなっていく。


手でかざした部分にセンサが反応しLEDが光る



球状型プロトタイプの外観

横道さんは、マルチポインツに対応したアプリケーションを作成することが今
後の課題であると語る。現在、横道さんはパソコン上でマリオネットを操作す
るアプリケーション“マリオネットアプリ”を作成中であり、その操作にマル
チポインツを対応させることで評価をおこなっていく予定である。生き生きと
マリオネットを動かすためには身体のたくさんの部位を同時に制御する必要が
あるため、マルチポインツでの操作が検討される。

マルチポインツ製作の背景は、マウスやキーボードの使用感とは異なる操作感
が入力装置にあると良いと考えたのが引き金となった。既存の入力デバイスと
マルチポインツの関わりについては、「マウス、キーボードと並走できるイン
タフェースになることを望んでいる。それらの入力装置が共存する将来を望ん
でいる」と語った。

今後は、マルチポインツに適したアプリケーションの開発と評価、そして音や
光の付加を用いてインタフェースの魅力づけも行っていく。(西 裕子)


戦略ゲーム、AIでヒント

未来大・大下さんが人工知能開発

チェスから得た着想

戦略ゲームというものをご存知だろうか。これはチェスや将棋といったボード
ゲームが、巨大な電子ゲームになったものだと考えてもらえるとわかりやすい。
公立はこだて未来大学大学院、修士課程1年の大下優弥さんは、戦略ゲームの
勝敗の大勢を示すシステムを開発した。


戦略ゲームは、巨大なチェスのようなもの



駒を数値化して、優勢劣勢を示す(画面下)


戦略ゲームは、世の中に多くリリースされている。国産のものでは、「スーパ
ーロボット対戦」シリーズなどが有名だ。プレイヤーは将棋と同じく、マスの
上で駒を走らせ、勝負を行う。

「The Battle For Wesnoth」という海外の戦略ゲームを題材とし、大下さんは
局面評価システムを開発した。面評価とは、二人のゲームプレイヤーのどちら
が有利なのかを示すものだ。状況を判断するということは、次にどのように駒
を動かすと有利になるかということにつながる。こういった考え方は、人工知
能研究の一分野で、昨今話題にもなった「ディープブルー」のように、プロ棋
士対コンピュータのチェス対戦などにも用いられている。人工知能開発という
と身構えてしまう方も多いかもしれないが、ファミコンでオセロをするのも、
裏側では人工知能が働いており、案外身近に存在している。

このシステムでは、駒に点数をつけてその総和で大勢を計るという方法をとっ
ている。これは本来チェスをコンピューターにやらせるために考えられた手法
で、それを応用したものだ 今後もWesnoth のような戦略ゲームに関わりつつ、
人工知能の発展に貢献する研究をしていきたい、と大下さんは語る。
(武藤悠助)


漁業のIT革命

漁師のための電子操業日誌

リアルタイムな管理

公立はこだて未来大学情報アーキテクチャ学科4年の武藤悠助さん(22)
は、海の上でインターネットを利用し、漁師の操業日誌を漁をする度にデジタ
ルデータとして送信するシステムを開発した。


従来、漁師はその日の漁の収穫量・収穫時間を記録する操業日誌を毎日手書き
で書いていた。そして1ヶ月に一回水産試験場に手書きの日誌を提出していた。
しかし手書きの日誌はデータ入力の間違いやデジタルデータに書き起こす手間
が問題視されていた。また資源管理を正確に行うこと、漁の作業を効率的かつ
迅速にすることが重要視されている背景がある。そこで海の上でインターネッ
トを使い、漁を行った時すぐに操業日誌を水産試験場に送信するシステムを開
発した。 仲間の漁船の情報を見ることができる機能もある。


無線LANを搭載した漁船

本システムでは漁船に防水性や頑丈さを考慮したタッチパネル式のパソコンを
搭載した。しかしパソコンを使った入力は、漁の作業中に手を離すことができ
ないため入力の手間を最小限にすることが重要である。現在ではパソコン画面
上をタッチして入力する操作方法である。しかし今後の展開として漁をしなが
らでも操作出来るように、大きなボタンを叩くだけ、棒を掴んで動かすような
直感的な操作方法を導入することが改善点である。


タッチパネルで操業日誌を記録

本システムは留萌漁業組合と大学生との共同研究なので、大学生が社会の現場
を実際に体験することにも役立っている。

6月16日から留萌漁業組合のナマコ漁を行う3隻の漁船で試験的に実装され
ている。仲間の漁船の情報を見る機能は、インターネット技術の利用によって
実現したことであるので、漁師の中で高評価を得ている。
(大下優弥)


写真からもっと感動を

新しい写真の見方「感写」開発

独自性が高評価

公立はこだて未来大学大学院生の新家(にいのみ)亮太さん(22)が感動を基
準に写真の閲覧を行う新しいソフト「感写」を開発した。写真を閲覧する際に
「愛情」や「達成感」といったカテゴリを選択する事で、それに合わせた写真
をソフトが表示してくれる。利用者からは「何に対して愛情を持っていたのか
再確認できた」と好評を得ている。

新家さんは、自分が感じる強い感動の働きに興味を持ち、従来の人々が写真を
イベントや日付を基準に写真を閲覧するのに対し、感動を基準とした独自性溢
れるソフトを卒業研究として考案した。

利用者はソフトに画像を入れる際、感動に含まれる4つの感情として「驚き」
「達成感」「愛情」「思いの強さ」をその度合いに応じてソフトに入力する。
その後、写真を見返す機会にその感情を選択する事で感情に応じたそれぞれの
写真を閲覧できる。例えば、自分が新しい環境に馴染めずやる気がでない時に
は、事前に画像とカテゴリが入力されたソフトの中から「愛情」や「達成感」
を選択し、それらのカテゴリにあった画像を見る事で、思い出や経験などを振
り返り、自らを奮い立たせることができる。このコンセプトには、大学生や青
年期を対象とした新生活に臨む人へ、生活の大切さへの気付きやポジティブな
働きになればとの思いが込められている。


「自身の思い出の価値を多くの人に感じて欲しい」と語る新家さん

同ソフトは、昨年9月に開催された感性工学会で発表を行い、好評を得た。卒業
研究で行った実験の結果から、これからの課題について新家さんは、同ソフト
の操作方法や画像を入力する際の手間を軽減する事と感動の要素はまだまだ多
いはずなので数を増やし、拡張する必要性がある」と話している。さらに、写
真以外にも新しい要素として、音楽や映像を同ソフトに導入する実験も考案中。
新家さんは、今年10月に開催される国際学会でも発表を予定している。
(鈴木祥史)


4つの感情から感動を想起させる写真を自動表示


「ゲームは本当に頭に悪いのか?」ここに一つの疑問が投げられた。その疑問
に答えるために、公立はこだて未来大学の松木裕作さん(22)は、ゲームとの正
しい付き合い方である「ゲームリテラシー」の研究を行っている。



ゲームは急速に発展・普及し、今の日本において一般的な娯楽の一部になった。
しかしその結果、「ゲームは頭に良くない。」や「ゲームをやると暴力性が増
す。」などといった批判や問題が発生。これらの誤解のためゲームは、社会に
まだまだ受け入れられていない。

少し前の日本では、新聞やTV、インターネットなどのメディアでもゲームと
同様に批判や問題とされる時期があった。しかし、今ではそれらのメディアに
対しての付き合い方である「メディアリテラシー」が定義され、そのような誤
解が少なくなった。ここで「リテラシー」とは、簡単にいえば「読み書きでき
る能力」という意味。この概念をもとに小学校の教育では、TVやインターネッ
トについて勉強し、実際に体験するワークショップ型の教育が行われる。


正しいゲームとの付き合い方を理解できれば、ゲームの可能性は広がる

 

日本では、新聞やテレビといった旧来のメディアに対する「メディアリテラシ
ー」は充分に身に付いていても、ゲームのような新しいメディアについてはま
だ不十分。これは諸外国に比べ、かなり遅れていると言わざるを得ない。これ
はゲームを単なる娯楽だと決めつけてしまい、エンターテインメント性が学校
教育の中でなかなか位置付けられずにいる状況が原因である。


松木さんはゲームへの誤解を解くために、ゲームとの正しい付き合い方である
「ゲームリテラシー」を提唱。しかし、「ゲームリテラシー」という概念はま
だ新しく、考えなければならないことが山積み。そこで松木さんは、カナダの
ゲーム成功事例などの分析や、「メディアリテラシー」を参考にしながら、
ゲームの有用性や将来性について検討中である。今後は、その概念をもとにゲ
ームを取り巻く環境のデザインをしていきたいと言う。
(鈴木祥太)


「世界初」のパンフレット登場

五稜郭公園が紙から飛び出す!?

最新の技術を用い実現

観光都市「函館」で、観光客むけの新たな試みが始まりそうだ。
最新技術の研究が日夜行われている、公立はこだて未来大学大学院システム情
報科学研究科1年の藤本義治さん(23)が、パンフレットをひらき、携帯の
カメラごしに見ると、函館の有名な観光地が立体的に飛び出すというシステム、
Hako‐ARの開発をした。



「函館に住んで6年目で、函館のまちに愛着をもっている。」と語る藤本さ
んは、函館の観光客を増やすことを目的に現状の観光パンフレットについてア
ンケート調査を行った。多くの観光客がパンフレットを参考にしているとの予
想に反して、パンフレットを観光の思い出として取っておかない人や、そもそ
も、もらわない人がいる、ということがわかり、大きなショックを受けた。藤
本さんはこの原因を、自分で写真を簡単に撮れるようになってきたことのため
と考え、今までにないパンフレットを作ることで観光客にもっと利用を促し、
函館をアピールしたいと感じた。

この目的から開発されたHako‐ARは、携帯のカメラで見ながらパンフレ
ットをかたむけると、五稜郭タワーも傾き、全方向から見れるというものだ。
当初は立体像をよりリアルに実現できる、頭に被るタイプのメガネ型ディスプ
レイを使用していたが、観光客に多い年配の方々のことを考慮し、この形態に
落ち着いた。「今後こういったメガネ型ディスプレイが進化し、本当にメガネ
程度の重さになればより魅力的なものを作れ、面白いだろう。」と藤本さんは
将来の展望を話す。


今回作ったシステム。携帯電話を傾けると立体図も傾くようになっている。

今回作ったのは五稜郭公園、五稜郭タワー、そして五稜郭タワーのキャラク
ター「GO太くん」の立体モデル。このキャラクターが函館のまちを案内し、
様々な観光名所の歴史などを紹介してくれる。

藤本さんは今後、この発展としてパンフレットに組み込まれた地図と自分で
撮った写真の位置情報を同期させ、「自分専用」の旅行パンフレットを作成で
きるシステムや、季節によって立体像の風景が変わる、といったシステムの開
発を目指す。観光都市函館にまた新たな風が吹き込まれそうだ。
(薄井宏航)


 さて、明日から、大学院の前期講義「メディアデザイン基礎」の課題として学生諸君が取り組んだ「相互取材」の成果を、このブログを通じて「日刊」として公開していきます。

 「卒業研究の内容を、新聞記事として紹介する」のが課題の内容です。
 同じ学部でも、研究室によって大きく研究分野が異なるのが「大学の普通の姿」。
 しかも、多岐にわたる専門分野が複合するのが一般的だから、結構理解するのは難しい。
 学生諸君がご家族に研究成果の話をしたら多くは「ちんぷんかんぷん」で、「いったい何をしているの?」となりかねない。

 技術者として社会に出ることの多い学生諸君は、将来は異なる分野の人達とプロジェクトを組むことになる。 「ちんぷんかんぷん」じゃあ、せっかく身につけた技術や技能を仲間と共有できない、なんてことになっては、あまりに勿体無い。

 もともと、コミュニケーション能力が高い学生諸君だけど、この際もっともっと磨いておこうという意図で、この課題に取り組んでいます。まずは、隣に座った同期の「分野の違う研究」をしっかり聞いて、平易な新聞記事にしたてる中で、わかりやすく説明することの方法を学ぼうというわけです。

 始めてみて、わかったことは、思いのほか分野の違う研究が面白いこと(初めて聞いた事が結構ある!)。知らず知らずのうちに数式と専門用語を多用して、濃度を濃くして圧縮(研究者の卵だから)して話す技が身に付きつつあったこと。
 新聞記者のつもりになると、いろんな事がわかってきます。
 これじゃあ、わからんよ。とか。もっと簡単に説明できないの?とか。写真が何を意味しているのかわからない、、、、。タイトルが説明的すぎないか?、、、、、、。

毎回、作成した「文章」をプロジェクタで投影して、全員で推敲作業をしました。

講義は、厳しい指摘が激しく行き交うような編集会議になりました。
 
 その成果です。